冷えずきんちゃん

Column

vol.54 2024.03.15 UP

更年期特有の「冷え・のぼせ・ほてり」などの症状と対策方法

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更年期を迎えると、冷えの症状が悪化したり、のぼせやほてり、発汗といった特有の症状に悩まされる人が多くなります。
今回はそんな更年期の症状にスポットを当て、原因や対策方法をご紹介します。

1.更年期とは

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「更年期」とは、閉経前の5年間と閉経後の5年間を併せた10年間のことをいいます。日本人の平均閉経年齢はおよそ50歳ですが、個人差が大きく、早い人は40代前半、遅い人は50代後半に閉経する人もいます。

この期間に現れる症状で、その他の病気を伴わないものを「更年期症状」、症状が重い状態を「更年期障害」といいます。

更年期障害には、顔のほてりやのぼせ、発汗といった症状が知られていますが、その他にもめまい、動悸、冷え、関節の痛みといった「身体症状」や、気分の落ち込み、イライラ、不眠などの「精神症状」など多くの症状があります。

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これらの症状は、主に卵巣機能の低下に伴う女性ホルモンや自律神経の働きの低下によって引き起こされます。

女性ホルモン(エストロゲン)の分泌をコントロールしているのは、脳の視床下部にある「下垂体」という部分。更年期は卵巣機能が低下するため、下垂体が分泌の指示をいくら出しても、エストロゲンは出にくい状態になります。すると下垂体はさらに分泌の指示を出しますが、エストロゲンは出にくいままなので、下垂体は混乱した状態に……。

また、脳の視床下部は、心身を健康な状態に保つ役割がある「自律神経」もコントロールしているため、この混乱が自律神経にも影響し、体温を調節しづらくなったり、冷えやのぼせといったさまざまな症状が起こるのです。
さらに、更年期の症状は、自身の性格や生活環境(ストレス)など、さまざまな要因が関与することで発症すると考えられています。

2.更年期による冷え

風門

「手足が冷えてなかなか寝付けない」「下半身がいつも冷えている」など、女性の多くが冷えに悩んでいますが、更年期を迎えると、この症状が強くなったと感じる人が多いようです。
更年期による自律神経の乱れは、体の「冷え」につながり、さらにむくみや頭痛、肩こり、肌・髪の毛などの乾燥を引き起こすこともあるので、日頃の対策が大切です。

ー 対策 コラム 画像

加齢によって筋肉量も低下していくため、日常的にできる運動を取り入れていきましょう。筋肉量がアップすると全身に血液が行き渡るようになり、体を温めることができます。

スクワットは道具も場所も必要ないため、手軽に始めることができます。椅子に座る直前くらいまでお尻を下ろし、ゆっくりと戻る動作を繰り返します。10回程度から始めて、徐々にできる回数を増やしていきましょう。

運動以外にも、入浴時はシャワーだけではなく湯船に浸かってしっかり温まる。ひざ掛けやレッグウォーマーなどで足元を温める。ストレスを溜めない。といったことも冷え対策には効果的。日頃から意識して取り入れてみてくださいね。

3.のぼせ・ほてり・発汗

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急に顔が熱くなったり、汗が止まらなくなるといった、のぼせ・ほてり・発汗などが起こる「ホットフラッシュ」。これらの症状も、自律神経の調節がうまくいかないことで、血管の収縮・拡張のコントロールができなくなることが原因です。

数分の熱感や発汗とともに、めまいや吐き気などを伴い、顔から全身に広がります。長いと1時間程度症状が続く場合もあります。

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一方で、顔や上半身は熱いのに、手足や下半身は冷えるといった「冷えのぼせ」の症状がある人もいます。

ここで注意したいのは、ホットフラッシュは ”更年期” によるものであり、冷えのぼせは、冷え性によって引き起こる症状の一種で、“年齢に関係なく起こる” ものだということ。
いずれも原因は「自律神経の乱れ」が関係しているため、規則正しい生活や、バランスの取れた食事、睡眠時間や運動などが大切になります。

ー 対策
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ホットフラッシュの症状が出るようになったら、通気性の良い衣服を着たり、意識的に静かな時間を作るなどして、体と心を休めるようにしましょう。
症状が出たら涼しい部屋で休んだり、腹式呼吸をして、リラックスすることを心がけると◎。

また、ホットフラッシュには少量のエストロゲンを補う「ホルモン補充療法(HRT)」という治療が有効的といわれています。子宮の有無などによって治療方法が異なるため、自分に合った方法を専門医と相談しましょう。

手足や下半身が冷える「冷えのぼせ」の場合にも、衣服の重ね着で温度を調節できるようにしたり、下半身をしっかりと温めるようにしましょう。

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その他、めまいや動悸、イライラなど、更年期にはさまざまな症状が伴います。
更年期の症状は個人差が大きく、ほとんど感じずにいる人もいれば、治療が必要なほど重い症状の人もいます。
また、更年期は症状の種類が多いことから「この症状は更年期によるもの」と思いがちですが、実は別の病気だったということも……。

体や心の不調を感じたら、無理をせず、まずは婦人科や専門外来を受診するようにしてくださいね。

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